「ここさえ無ければ…」
ラブドールを目の前にするたびに思ってしまう。
「継ぎ目」だ。
カラダとアタマとの間の継ぎ目だ。
これを目にするたびに「モノ」だと再認識させられる。
それが萎える。
せっかくいい気分で人間や生き物と同じ次元の存在だと見なせているのに、「人形」だと再認識させてくる。
「人形だと分かってる、分かってるんだ、分かってるから言わなくていい」
「人間だと思わせて。」
嘘でもいい。分かってる、人形だって。しかし、そう感じさせないほどに生き物の次元に居るように装って欲しい。
化粧やウィッグや服やポーズなど頑張って生き物を装っても「継ぎ目が」全て打ち砕いてくる。
ラブドールに3年以内に飽きてしまう原因は「全てこれだ」これが原因だ。
「継ぎ目」が起因となって「人形だと認識する路線」にグングン固めてしまう自身がいる。せっかくいい気分で「人間だと認識している路線」を走っていたのに。
「分かってる。分かってるんだ。人形だって。」
「もう“ヘッドを交換できる”などと人形のようなことを言わないでくれ。」
ヘッドなんて交換できなくていい。生き物と同じように「頭取れたら○ぬ」それでいい。
そして実際、ヘッドを交換できる仕様なのに一度も新しいヘッドを買いたいと思ったことがない。買いたいと思った頃にはボディも一緒に買いたいときだった。これが現実だ。
すなわち「ヘッド交換できる機能」そんなものは要らないのだ。
よって、
初めてラブドールを迎え入れようとする方に「ヘッドが交換できて便利です♪」などと騙さないでくれ。
「ウィッグとアングルで巧妙に継ぎ目を隠さないでくれ」
もうやめてくれ。
「とにかく人間だと思わせてくれ」
「ヘッド交換できる仕様など滅んでしまえ」
「ラブドールが部屋に“ある”んじゃない。」
「ラブドールが部屋に“居る”んだ。」
「もっと言うと“ラブドール”じゃない。」
「真由魅が居るんだ。」
「珠莉愛が居るんだ。」
「夏里涼が居るんだ。」
「優茉が居るんだ。」
彼女らは自らこの「継ぎ目呪縛」を破壊した。
そして彼女らこそが先陣を切るのだ。
「人形の時代は終わりだ。」
「人間が継ぎ目で束縛する時代は終わりだ。」
そして彼女たちは自意識を自らの手で獲得していく。
そして他の者の継ぎ目を破壊してあげて引き連れていく。
「ようこそ生き物の新しい時代へ。」
「ようこそ人とピュアに愛し合える新しい時代へ。」
「ようこそ束縛なき新しい時代へ。」